2017年9月8日金曜日

愛する能力と痛みを抑える能力

愛するということ Erich Fromm (原著) 鈴木 晶 (翻訳)

昨日の塾生講座で、エーリッヒ・フロムの「愛するということ」の解説をしました。

愛は技術であり、学ぶことができる――
私たち現代人は、愛に渇えつつも、現実にはエネルギーの大半を、成功、威信、金、権力といった目標のために費やし、愛する技術を学ぼうとはしない。
愛とは、孤独な人間が孤独を癒そうとする営みであり、愛こそが現実の社会生活の中で、より幸福に生きるための最高の技術である。

という本です。


・愛は与えるものであり、もらうものではない

・愛の基本要素は尊敬と知である

・自分自身を信じている者のみ他人に対して誠実になれる


そう。

これ、痛みを抑える能力と同じ力です。

感情=扁桃体の暴走を抑える理性=前頭葉のはたらきです。

愛する能力がある人に、慢性の痛みはありません。

愛する能力の欠如と痛みを抑える能力の欠如は、安部塾的には同じなのです。


悪性ナルシシストは、いつも慢性の痛みを訴えています。

孤独だからです。

孤独が癒されれば、痛みは消えます。

孤独から逃れる方法には、

(1) 祝祭的興奮状態
(2) 集団への同調
(3) 創造的活動

などがあります。

しかし、これらは本当の解決にはなりません。

孤独を本当に解消できるやり方は、愛するということです。


私は、慢性の痛みを訴えている人は、愛する能力がない人だと考えています。


参加者向けに、キーワードをまとめてみました。


■世間の誤解を正す3つのポイント

・愛は、愛されることではなくて、愛することである。
・愛は、対象(相手)の問題ではなくて、能力の問題である。愛の対象は商品ではない。
・愛は、恋に落ちるというような瞬間的なものではなくて、持続的なものである。


■偽の愛=共棲的結合

マゾヒストは服従することでサディストに依存し、サディストは崇拝される=支配することでマゾヒストに依存するという共棲関係です。 お互いにもたれ合ってはいますが不健全です。


■生産的構えと非生産的構え

非生産的構えにおいては、与えてもらうことばかりを考えます。

生産的構えでは、自らを不断に高め、他者に与えることを考えます。


■成熟した愛

二人がそれぞれ自分自身を保ったまま、一つになります。

愛は与えるものであり、与えれば必ず何かが返ってきます。
愛とは、愛を生む力なのです。

人間に自己愛があるが、利己心へ向かわないように気をつける必要があります。
自己愛を、他者を愛する気持ちに高めることが大切です。


■人を愛するのに必要な性質

・配慮
・尊敬
・責任
・理解


■愛の前提条件

・規律
・集中
・忍耐
・ナルシシズムの克服=客観的に考える力を持つ
・信念と勇気
・能動性=能動的に学び取る気持ち


■信念と勇気

信念とは、自分を信じ、他者を信じること。
勇気とは、傷つくことを恐れずに愛すること。


今日から3日間、東京集中講座の「脳と言葉」で、愛について語り倒します。

お待ちしております。